工匠からのお便り
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松戸市、市川市、宮大工が手掛ける注文住宅・古民家再生の工匠、広報担当です。
皆様こんにちは。
今回は弊社研ぎ場をご紹介します。
工匠では大工たちが直ぐに道具を整えられるよう、工場内に研ぎ場が設けられています。
使いやすいように手作りされた作業台にたくさんの砥石が並び、中央に水道が設置されています。
砥石は、大きく3種類に分かれ、下記のような手順で研いでいきます。
・荒砥石→荒研ぎ:刃先の欠けを取り除く
・中砥石→中研ぎ:小さな刃こぼれや、荒れた刃先を整える
・仕上げ砥石→仕上げ:中研ぎよりもさらにキレ味をよくする
そして、砥石自身、使っていくうちに表面がへこんできます。綺麗に刃物を研ぐためには、砥石自体を平らに戻す必要があります。
つまり、”砥石を砥ぐ”という作業もここに加わります。
砥石は本来、天然の砂岩や堆積岩を使います。しかし、天然のものは価格が高く、なかなか使い切れないということや人工砥石の品質が良くなり、さほど違いがないので今では人工砥石が多くなっているようです。
大きく分けて3種類と書きましたが、その中には更にたくさんの種類の砥石があり、大工たちは、自分の使っている道具の刃がどの砥石と相性がいいのか試しながら研ぐそうです。
「この鉋にはこの砥石がいいな・・・」などと。
良い砥石と良い組み合わせで研いだ刃は、持ちがとてもいいそうです。
単に研ぐといってもやっぱり奥が深いです。
大工それぞれが、自分の道具を自分の砥石で研ぎます。
道具は、朝や休憩時間、仕事終わりなどを使って研ぎます。
お客様からお預かりしている”作業そのものに使う時間”の妨げにならないように、その作業に最高の技術が発揮できるように、道具はいつも良い状態に整えます。
工匠では、若い大工達が毎日肩を並べて研ぎ場に立っています。
棟梁が墨付けや手直し、アドバイスなどしている間、若い大工は道具を使い作業をします。木と向き合い、色々な感覚を養います。
そして、たくさん使った道具の刃はこぼれ、傷ついていきます。パフォーマンスを落とした道具は作業効率を悪くさせます。だから、作業が終わると、次の仕事のために研ぎ場に立ちます。研ぎ場にいる時間が多いのは若い大工達です。
研ぎあげる時間にも差があるそうです。例えば、ベテランの大工が10分ほどで刃をつくり終えるの対し、若い大工は納得いくよう仕上げるまでに時間がかかるようです。そして、
「あれ?この前のほうがよく研げていたな」
などと感覚を掴み、どんどん上手くなっていくのだそうです。
研ぎ場は、刃を研ぐだけでなく、職人の技術や感覚、感性も磨きあげる場所のかもしれないと思いました。
いつでも鑿や鉋の刃を研げる場所が、工場内にきちっと備わっているということは、良いものを創り出すうえでとても大切だと感じます。
道具をいつも最高の状態に保ち、これからも良い仕事ができるよう頑張ります。