工匠からのお便り
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松戸市、市川市、宮大工が手掛ける注文住宅・古民家再生の工匠、広報担当です。
皆様こんにちは。
大きくて立派な材木が所せましと並んだ工場で、大工さんたちは各々加工に追われています。
そんな中、手元にたくさんの道具を並べて、繊細な彫刻を施している専務を発見。
『虹梁(こうりょう)』という部材の制作だと教えてもらいました。
こうりょう…?
勉強しました。
虹梁とは、社寺建築ではよく見かける梁の一種で建物の荷重を支えるものです。柱と柱の間に据えられており、構造上とても大切なものです。時代が経つにつれて彫刻などがほどこされるようになり、デザインも様々で凝ったものも多く、化粧梁として社寺建築、山車などにも用いられ目立つものとなっています。
虹のように上方に湾曲していることが名前の由来だとか。直線だと中央が垂れ下がっているように錯覚してしまうので、それを和らげるための形になっているのだそうです。
更にS字に湾曲しているものは海老虹梁を呼ばれ、渡す柱に高低差がある場所に用いられます。
専務が制作中の虹梁は、原画をもとに研ぎ上げられた彫刻刀で細やかに丁寧に深く彫りこまれていきます。
虹梁に彫刻がほどこされるようになったのは鎌倉時代の頃と推測されているそうで。この模様もたくさんの種類とデザインがあり、調べているだけでも楽しいです。工匠で手掛ける虹梁には、今でも彫刻のないシンプルなものがあります。シンプルな虹梁は曲線の滑らかさが際立ち美しい。
進んでいく過程を見ていたら、小学校の図工で使っていた彫刻刀を思い出しました。持ち手部分がプラスチックだったり、バレンがセットだったりしてたなって。あと、手入れができないせいで、切れ味がイマイチだったな…って。
専務の彫刻刀の先は工場の高い天井の明かりを拾ってキラリと光っていました。
そして、ミニチュアみたいな小さな鉋で虹梁の「眉」という滑らかなラインを作っていきます。大工さんてとっても大きな道具から、こーんなに小さな鉋まで使いこなすんですね。
持つべき技術の多さと繊細さとダイナミックさ。大工さんは器用の一言では収まりません。
今回工場で作成されていた虹梁は小型のものでしたが、迫力がある大きなものもあります。
そして、住宅の敷地内に祀られるサイズの稲荷にも虹梁はちゃんとありました。小さくても存在感があり細かく彫刻がほどこされていて見とれてしまいます☟
社寺によっては大変迫力のあるものもあり、正面の目立つところにあることが多いので、参拝の際は見上げてみようと思いました。
松戸市に本社、工場を構える宮大工集団の工匠です。社寺建築、住宅建築、古民家再生、オーダーメイド家具や建具、工場ではいつも大工たちが働き、動き、技を磨いています。これからも作業の一部を掘り下げながらレポートしていこうと思います。