工匠からのお便り
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工匠の小林です。
前回に引き続き、由緒あるK神宮で改修工事及び、渡り廊下等増設工事を担当させて頂いております。
第一期工事で既存渡り廊下の生かし取り解体を行いましたが、今回はそれらを再利用する物と新規材を組合わせて増築していきます。
当時の既存渡り廊下とは、大きく変更した所が数々ありますので一筋縄では行きません。
また、勾配が違う複数の屋根が折り重なって来るので振れ隅木を納めていきます。
振れ隅木とは、一般的な隅木とは大きく違います。
隅木とは、隣り合う屋根傾斜面の交わる部分に取付ける材で、出隅に取付けるものを指します。
小屋組構造材のひとつで、屋根の下地となって支えるための斜材です。
それに代えて振れ隅木の特徴としては、
屋根の妻側方向と桁行方向の交わる部分にある隅木が45度ではなく、異なる角度になっている部材になります。
手刻みでなければできない技であるため、手間がかかります。
なぜ、普通の隅木ではなく振れ隅木にしなければならないのかと言いますと、
例えば妻側を4寸勾配にして桁行側を3寸勾配にしたい場合など桁行方向だけ勾配を緩くしたい場合になります。
今回も二期の屋根部分と、三期の新規屋根の勾配が代わるためこの振れ隅木を採用しております。
また、このような複雑な構造はなかなか出会わないため慎重に進めております。
そして、同時進行で新しく増築した部分、躯体取り合いの間仕切りなども数々の打ち合わせを重ねながら徐々に進めております。
この時期は、観光客やイベント等が多いので参拝者や一般の方々に配慮しながら日々精進してまいりたいと思います。
皆様も、季節の変わり目で温度差が多いので風邪などをひかないようお体に気を付けて頂ければと思います。