工匠からのお便り
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工匠大工の中田です。
前回の大工ブログでは、松梁の墨付けについてふれさせてもらいまして、
その客殿もおかげさまで無事に建ち上がりました。
そして現場では、引き続き屋根造りの作業になっていきます。
屋根というのは、そもそもの役割は雨や雪等の上から降ってくるものに対して、
家屋を守るということだと思います。
もう1つ、民家や住宅もそうですが、
社寺建築において最も重要視されるもの、それが景観です。
デザイン もしくは 意匠 です。
まず機能を満たすことが第一ではありますが、
社寺建築が誰が見ても「お寺だね」、「神社だね」と
一目で解るものでなくてはなりません。
私の考える社寺建築らしいカタチは、何と言っても「軒の出が深い」ということです。
軒というのは、建物の壁から屋根の先までを言います。
その距離を長くすることによって、美しい曲線を表現するための
ベースができるということになるのです。
軒を深くするために構造的に歴史上いろいろな苦労がされてきたようです。
現代において1つの流れとして通常化しているやり方があります。
それが「桔木(はねぎ)」といいます。
写真を見てもらうとわかりますが、丸太のような木が桔木です。
この大きさの屋根でも8本入ります。
桔木が入ることで、てこの原理で軒先を持ち上げているわけですが、
もちろん完成後は見ることができなくなってしまいます。
縁の下の力持ち、とはよく言いますが、力持ちは軒の上にもいるようです!
皆さんが神社やお寺へ参拝に行かれましたら、軒の上で頑張っている桔木を想像してみて下さい。
きっと喜ぶと思います。