工匠からのお便り
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みなさんこんにちは。
工匠の広報担当、黒河内です。
今回は、新規に入る丸柱を槍鉋(やりがんな)という大工道具を使って仕上げるということで
撮影してきました。
(こちらが槍鉋です。槍の様に先が尖っているのが特徴です。)
槍鉋が使用されることは珍しく、貴重な場面に立ち会えました。
社寺建築にも携わる大工さんでもなかなか見ないそうです。
私自身、聞くのも初めてでしたので調べてみました。
槍鉋は鉋という言葉が付いていることから鉋の仲間です。
通常の台鉋よりもさらに昔から日本に伝わった伝統的な大工道具のひとつです。
歴史は古く、飛鳥時代にはもう利用されていたと言われています。
槍鉋の削り跡は滑らかなので、
雨水が浸透しにくいことから
有名な法隆寺の柱も槍鉋を使用しています。
「木の表面を削る」という主な用途は鉋と同じですが、
槍鉋を使うことによって、
木目にさざ波のような独特な模様をつけたり、
槍鉋ならではの独特な風合いを木に表現することができます。
槍鉋で削った所を触らせて頂きましたが、
台鉋だけで削った所に比べ表面に不規則な凹凸があり、肌触りがとてもよかったです。
削った後の木くずは細く、クルクルとした渦巻のようになります。
職人さんが手作業で仕上げていくので同じものはなく、
見る角度によって木目が違った表情になります。
また、でこぼことした削り跡に光が当たると陰影ができて独特の風合いが楽しめます。
まだまだ改修工事は続きますが、
これから仕上がっていって、この丸柱が取り付けられた姿を想像するだけで
ワクワクしてきます。